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■腰痛、脊柱管狭窄症での利用 |
いかに自然治癒力を呼び起こすか。プラセンタはそこで勝負する |
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◎手術せずにいかに治すか・・・。それが、メスを捨てた整形外科医の役目
世田谷の奥沢といえば、閑静な住宅地として知られている。「清水整形外科醫院」は東急目蒲線奥沢駅から徒歩1分ほど、痛みを抱える患者さんにはありがたい立地である。
プラセンタ治療では注射(皮下・筋肉注射)、ツボ注射、トリガーポイント(圧痛点)注射のほか、漢方薬やテーピングも治療に活用している。
「私はメスを捨てた手術しない整形外科医ですから、患者さんのためにいかに手術しないで治すかが役目です。治療の過程でいろいろ試行錯誤もありますが、その患者さんに最適の治療法を早く発見してあげたい。どうしても手術しないといけないケースもあるでしょうが、手術と手術しないで治す方法との間に、プラセンタがあると思っています」
清水先生がプラセンタを初めて使ったのは、12年ほど前、症状が相当こじれた顔面神経マヒの患者さんだった。試みにプラセンタを使ってみたところ、顔面神経マヒが改善されたのだった。
「現在、脊柱管狭窄症やさまざまな腰痛治療にプラセンタを使って大きな効果が上がっています。順次自分なりに適用範囲を広げながら、実績を積み重ねてきたといのが実情です」
次に、清水整形外科での脊柱管狭窄症へのプラセンタ注射の効果を報告しよう。
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脊柱狭窄症の症例@・・・・・女性(68歳) |
この患者さんは10年ほど前から右足が痛み出し、医大の付属病院で脊柱管狭窄症と診断されている。医師から神経根ブロック治療を受けるが、雷が落ちたようなものすごい痛みを感じたという。
「何とか良くなるものの、07年の暮れ、今度は左足が痛くなっています。先に治療を受けた病院を再受診すると、医師から『神経根ブロック治療か手術しかない。旅行などがしたいなら手術のほうが良い』といわれたそうですが、両方とも怖さを覚えてためらい、処方された痛み止めだけでしのいでいたそうです」
寝ていても、足の角度を変えると、電気が走るようにビリビリ痛くなる。間欠性跛行も出てきた。台所に立っているだけでも腰が痛くなる。ほとんど寝てばかりいる生活になる。
初診は08年の4月、すぐに週1回のプラセンタ注射を開始する。3ヶ月ほどプラセンタ注射を受けると痛みは良くなったが、しびれは完全には取れなかった。そのため、外出はまだままならない状態だった。
「09年7月現在、腰の痛みはまったくなくなっています。たまにしびれは出ますが、歩行にはまったく支障がなく、『8000歩の散歩ができるようになった』と喜ばれています」
この方は、現在も週1回のプラセンタ注射を続けている。ここまで痛みが良くなったのだから、プラセンタ注射でしびれも取れることを期待しての治療である。
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脊柱狭窄症の症例A・・・・・女性(79歳) |
この患者さんの初診は08年6月。最初は週1回のプラセンタ注射だったが、途中から痛みが楽になったために2週間に1回の治療となっている。
「この方は、20年ほど前から腰痛があったそうです。ほかの整形外科で電気治療を受けたり、内科で痛み止めの治療を受けています。その治療を続けているうちに腰の具合がどんどん悪くなり、大きな総合病院で骨セメントを入れる手術をしています」
清水整形外科医院を受診したときは、ほとんど寝たきり状態だった。先の手術後に脊柱管狭窄症が出たためだが、その病院では「これ以上の治療はできない」とサジを投げられたという。家でも1日中横になっている状態で、動かなければならないときは這って移動。介護認定を受けると介護2といわれ、ヘルパーさんにきてもらう生活になっていた。
「家族の車で通院されましたが、半年ほどのプラセンタ注射で歩けるようになっています。09年の5月が最後の治療で、そのときは『10分以上歩いても、大丈夫。介護度も1になり、ヘルパーさんにきてもらわずにすむようになった』といってくれました」
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脊柱狭窄症の症例B・・・・・女性(71歳) |
この女性患者さんの初診は09年の1月、脊柱管狭窄症で、左足の痛みを訴えての来院だった。
「腰の左側から尾てい骨にかけて痛みがあり、『歩くと足の裏全体がしびれる』といわれています。痛みのため、買い物に行くこともできない状態でした」
青梅市(東京都)在住のため、奥沢の清水整形外科医院までは電車を乗り継いで2時間ほどかかる。「これもリハビリ」と、週1回の治療を根気よく続けたという。痛みが消え、しびれも指の付け根だけに改善されたため、09年6月が最後の治療になっている。
「もうちょっと通っていただきたかったんですが、そのときに、『主人から歩く姿勢が良くなった。楽しそうに見えるといわれた』とおっしゃっていました」
この方は日舞の先生で、「前は休憩時間を延長しないと次の稽古ができなかったのが、痛みがなくなったので休憩時間が短くてすむようになった」ともいわれていたという。
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ヘルニア手術後の痛みの症例・・・・・女性(48歳) |
この女性患者さんは、07年5月にヘルニアの手術を受けている。
「手術後、長く座っているのも辛く、寝たり、起きたりの生活になっています。それが1年半ほど続いていますが、MRI検査では別に異常はなかったそうです。『癒着があるかもしれないが、整形外科的にはやることがない』と医師にいわれて半ばあきらめていたところ、たまたま知人が当院を知っていて受診しています」
初診は08年11月末。最初のプラセンタ注射を終えて帰宅するとき、しびれ感がなくなっているといわれたそうだ。週1回のプラセンタ注射を2ヶ月半ほど続けると、本当に動くのが楽になる。生活に支障がない状態にまで改善したため、そこで治療が終了している。
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「MRIやレントゲンがすべてではない」と知ってほしい |
「私が一番いいたいことは、MRIやレントゲンがすべてではないことです。脊柱管が狭くなっていても、プラセンタ注射療法で痛みが取れてしまう人はいっぱいいます。逆にいうと、手術しなくても治らない人だっています。先入観と固定観念が一番いけません」
この清水先生の言葉は、じっくり噛み締める必要があるだろう。「なるほど」と思っていると、清水先生がダメ押しをしてくれた。
「いかに自然治癒力を呼び起こすか、です。神社にいってポンポンと拍手を打ったら治ったなんて最高ですよ。ただそれはほとんど不可能だから、方法はプラセンタ注射であったり、テーピングであったり、漢方薬であったりしますが、プラセンタは1回は試してみる価値はあると思います」
では、その自然治癒力を呼び起こす方法だが、先生はユニークな方法を教えてくれた。
「私は『好きなことをしなさい、好きなことをしながら治しましょう』といっています。人間というものは、楽しみを奪ってはいけません。好きなことをしながら治療していけば、良い結果がついてきます」
笑いは自然治癒力(免疫力)を高める。同じように、好きなことをすれば身体も心も活性化され、自然治癒力が高まるのだろう。
「プラセンタ注射には、すばらしいことがいくつもあります。まず、さまざまな病気に効果をもたらしながら副作用がほとんどないこと。それに、整形外科の病気で使ったにもかかわらず、肩こり、冷え性、耳鳴り、めまい、不定愁訴などが改善される効果が見られることです。"意外がところに効いていく未知なる薬"という表現こそ、プラセンタの総合作用だ。私たちの身体のシステムに働きかけるからこそ、こした働きが生まれるのである。
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(本誌P79〜 抜粋)
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